アメリカと日本の競馬の違いについて
チャーチルダウンズ競馬場 |
ロサンゼルスに移住してもう10年経ちました。
あっという間です。
憧れ、いや実現したい夢だった競馬の仕事にアメリカで就いてから、いや就いたからこそ、いろいろ感じることも多くあります。
以前Twitterでも触れましたが、一番大きな日米競馬の違いはファン目線の競馬ではないこと。
日本ほどファンを大事にし、かつファンから厳しい目で見られている競馬は他にないと思います。
それを維持するにはメディアの協力が不可欠。アメリカはスポーツの興行扱いなので、ケンタッキーダービーを始めとする有名なレースしか民放でやりません(しかもNBCのみ)。アメリカは主催者・テレビ局、また優勝馬のためのレースという感じがすごくするんです。
最も強く感じたのはラニのケンタッキーダービー。もう他馬がイヤで外に出たくてウズウズしているラニを早く本馬場に出してやりたかった陣営。僕が代わりにアウトライダー(馬に乗っているセキュリティ兼務の誘導馬)に、「ラニだけ早く出させてくれないか?これ以上は堪えられないし事故になる」とお願いしたら、耳に入れているイヤホンを指差して「いまNBCがCM中だからダメだ」と言われたのです。
いわゆるこのシーン。
https://youtu.be/zUBAmx17nJ4
後から映像を見れば、いわゆるMy Old Kentucky Homeで入場するシーンを絵として撮りたかったわけですが、普段は馬優先なのに、この時はテレビ局による「演出」が最優先されたわけです。
エンタメの国・アメリカ。競馬もその括りを離れることはできないということ。それは非常に大きな違いとして感じました。
少し話がそれますが、「郷に入っては郷に従え」というのか、海外遠征、特にこういった歴史ある超一流のG1を勝つためには、馬が全てを兼ね揃えて強いだけではなく、関わる「人」も何事にも動じない強さが必要なのだと身をもって感じたという意味では良い経験でした。
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