米国競馬における大レースの存在意義
全くだらしのないことですが、風邪をひいてしまいました・・・。
最近のルーティンは、一年間意外と元気で翌1月に体調を崩すというパターン。2年前は、TCKの調教師を迎える直前に痛風になり、去年は年明け早々に数日不可解な体調変動(熱・悪寒・一晩立ったら布団が汗でびっしょり)。今年は、冷え込んだことによる風邪。皆さんもお気をつけて。今年の風邪はしつこいです。
いま、アメリカで一番大きなレースと言えば、ペガサスワールドカップ、ケンタッキーダービー、ブリーダーズカップの3つかなと思います。
ケンタッキーダービー(KYD)は、もはや伝統。BC2日間の集客数の3倍近い観客が1日に、しかもチャーチルダウンズのような小さな競馬場に詰め込まれるのは、世界でもここだけだと思います。これはどんなにブランド化しても、賞金が高くなっても、絶対に何も価値が変わらない世界最高峰のダートレースだと思います。
今年からロゴが変わりましたね |
ブリーダーズカップ(BC)は、「生産者・馬主たちのマネーゲーム化した競馬ではいずれファンに捨てられる」ことを危惧した人々が、テコ入れのために始めたもので、これは当たりました。が、後述しますが、BCには個人的に危惧を抱いています。
ペガサスワールドカップ(PWC)は、世界最高賞金・出走枠の購買・1レースへの投資(見返りは放映権や馬券売上)という、今までにない条件で成立しているレースで、ビジネス感覚に優れたストロナックならではの提案だったと思います。
Fasig-Tipton Sale中にPWCのプランニングが行なわれていて、たまたま呼ばれて私もこれの話し合いに参加したのですが、「Invitationalだから世界中から招待したい」との話が挙がり、ミーティング終了後の談笑の中で意見を聞かれましたが、私はハッキリと「このプランで日本馬を呼ぶのは難しいと思う」と伝えました。理由として、
・出走枠に1億円の投資をするという感覚は、日本人のビジネス感覚にはまだ乏しい。非常にアメリカ的。
・競馬場がガルフストリームパークなので、日本陣営の遠征には適さない(食事や生活環境)。西海岸やベルモントならOK。
・12月にダート重賞が集中して年末で競馬が終了する日本。またローテーション的に1月末は適さないのではないか
結局この時は、(当たり前ですけど)小童の私の意見など無視されて2017年1月に初めて開催されました。また今年も今週末に開催されますが、ペガサスWCの日本代理を置いたにもかかわらず日本馬の遠征はありません。私が調教師でもPWCへは遠征しません。
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私が一番危惧しているのは、ペガサスWC及びBCが、また昔のマネーゲームのようになっていないかということです。なぜなら、現地競馬関係者の中でも特にPWCに関わりのない人たちは、それらレースに非常に無関心で、KYDの時のように「自分は関わらないけど誰が勝つのか、どんなレースになるのか楽しみ」というワクワク感が皆無だからです。
では何のために存在しているのか?その存在意義は?
世界最高賞金レースにするのは全くかまわないと個人的には思います。
が、主催者たちのマネーゲーム化している今の米国競馬では、次のステップに進むことが難しい。
馬券を買うファンがあっての競馬興行。ファンに気に入られ、新規のファンを次々と獲得していく流れを作らない限りは、この先の米国競馬は「金持ちがもてあそぶマネーゲーム」から脱却できず、未来も同じことの繰り返しです。
(その意味では日本競馬は素晴らしいと思います)
BCが12月開催になるという話も出て来ていて、今週末はその会議があるそうです。
米国が、単なる「高品質馬の生産国」に成り下がらないよう祈りつつ、会議の行方を見守りたいと思います。
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