日本産馬が米国ダートG1を勝つ意味
既報の通り、日本産馬であるYoshidaがウッドワードステークス(G1)を見事に勝利しました。在米日本人としても、この勝利は誇らしく思いますし、個人的にはこの馬の輸入に携わっただけに、数年前に健康証明書で目にしていた「Hilda's Passion 14」が成長し、芝のみならず米国ダートのG1まで優勝するとは、その当時思ってもみませんでした。
レース終了後の数日、いろいろなメディアがこのレースの優勝を書き、様々な競馬関係者が意見を述べられているなかで、個人的にはこの勝利がもたらす意味について、思いをめぐらせていました。
・Strength of American Grass Horses
Lemon Drop Kid産駒の同馬は、アーリントンミリオンを優勝した後にブリーダーズカップターフで2着、その後Yoshidaの後塵を拝するわけですが、若干ショックだったのは、芝で大きな実績を残している日本産馬、しかもハーツクライの仔で、Beach Patrolに3/4馬身差まで追いすがられたことです。
Beach PatrolはBCターフでもTalismanicに半馬身差。
ということは米国のグラスホース(芝馬)の実力が、日本に追いついてきているのか。だとすると、以前トレイルブレイザーの挑戦が示したことで競馬関係者に残った印象である、「BCターフに日本のG1勝ち馬が出走すれば案外勝てるのではないか」という憶測が覆ることになります。
・米国ダートへ挑戦する適性
いきなり私の過去のツイートを載せてみましたが、米国のダートはほぼこんな感じで、水を含むと本当に泥のようになります。おそらくドバイのダートも同様だと思います。
通常、どろんこ馬場にならない限りは、適度に水分が含まれ、ハローがけされてフカフカになったダートで競馬をやります。
「日本のダートで強いから、米国に行けばそこそこやれるのではないか?」
とよく思われますが、私は日本のSandy Dirtとは「全く違うものである」ことを言い続けてきました。
一昨年、ヌーヴォレコルトでBCフィリー&メアターフに遠征した、斎藤誠調教師は、ダートコースに足を踏み入れた上で「この馬場で活躍できる日本の馬は芝タイプじゃないか?」と言われていましたが、ヌーヴォレコルトと同じ、ハーツクライを父に持つYoshidaが圧勝したことを考えると、この見解はおそらく間違っていないと思っています。
裏を返せば、米国ダート種牡馬の頂点に立つTapitは、ラビットランのように日本の芝で走る馬を出すこともままあるわけですから、そうなることは想像に難くありません。
日本馬が踏み出せなかった、芝系種牡馬の血を引く馬の米国ダート遠征をYoshidaがやってくれた格好で、これである程度、米国ダートへの適性を示してもらったのではないでしょうか。
でも、だからこそ、今年のケンタッキーダービーはルヴァンスレーヴに来てほしかった・・・ミルコも「ホント連れて行きたかったよ、なんで行かなかったんだろう」と言っていましたが、これだけは本当に悔いが残って仕方がない、2018年最大の後悔です。
(と言っても自分で何かが出来たとは思えないのですが・・・)
・JRA・生産界への波及
私がJRAに提言したいことは、
・日本馬に凱旋門賞を勝たせるため、欧州と同じタイプの芝にしてほしい
・日本馬にKYダービーを勝たせるため、米国と同じタイプのダートにしてほしい
この2つです。
ただ容易ではないのは、今の芝・ダート種牡馬や繁殖牝馬の血統が役立たずになってしまう可能性も否定出来ない=生産界への波及が間違いなく起こるので、簡単には行きません。
サクソンウォリアー等で欧州G1に結果が出ているディープインパクトはどうかわかりませんが、それ以下の芝系種牡馬のランキングも変わるでしょうし、ゴールドアリュール系の血統は、ダートでは無用の長物になってしまう可能性も否定できません。
が、超高速の芝&深くて重い砂のダートというのは、それぞれの馬場の先進国と比較すると、携帯電話同様のガラパゴス馬場と言わざるを得ない状況。
この上で、やれ凱旋門賞を勝ちたい、やれBCクラシックを勝ちたい、と言われても、同じような馬場で戦ったことがない馬がほとんどなので、なかなか現実味も湧かないし、結果として上位にもたどり着けません。
無論、進化しているその効果は近年の海外遠征で現れてきているのですが、独自の進化を続けてきた日本の近代競馬は、これから先は競馬そのものやルール、文化等を世界のデファクトスタンダードにどう近づけていくかが大きな焦点ではないかと思います。
上記のような事象に対する投げかけというか、大きなきっかけになる一つが、今回のYoshidaの勝利、つまりは米国大手ブリーダーのセレクトセール参加〜米国へ輸出&調教〜出走〜結果だったのではないかと推察しています。
あー、個人的に考えがまとまってスッキリした(笑)
» Yoshida Wins the Woodward https://t.co/IridODdztr pic.twitter.com/NoimlPdqdE— TDN (@theTDN) 2018年9月2日
レース終了後の数日、いろいろなメディアがこのレースの優勝を書き、様々な競馬関係者が意見を述べられているなかで、個人的にはこの勝利がもたらす意味について、思いをめぐらせていました。
・Strength of American Grass Horses
Yoshidaが芝のG1・ターフクラシックを優勝した際、2着に入線したのはBeach Patrolでした。#FlashbackFriday— Breeders' Cup (@BreedersCup) 2018年8月10日
Last year Beach Patrol rallied to win the #WinandYoureIN Arlington Million before going on to finish 2nd in the @Longines #BreedersCup Turf @DelMarRacing.
📺 Watch this year's edition tomorrow on @NBCSN at 6 PM ET pic.twitter.com/aSsOgeAFIs
Lemon Drop Kid産駒の同馬は、アーリントンミリオンを優勝した後にブリーダーズカップターフで2着、その後Yoshidaの後塵を拝するわけですが、若干ショックだったのは、芝で大きな実績を残している日本産馬、しかもハーツクライの仔で、Beach Patrolに3/4馬身差まで追いすがられたことです。
もちろん着差が全てではありません。が、力を示す意味ではもう少し突き放してほしかった。Royal @Ascot next? Queen Anne Stakes entry Yoshida wins the Grade 1 Old Forrester Turf Classic! #KyDerby pic.twitter.com/TvZDQRuRej— At The Races (@AtTheRaces) 2018年5月5日
Beach PatrolはBCターフでもTalismanicに半馬身差。
ということは米国のグラスホース(芝馬)の実力が、日本に追いついてきているのか。だとすると、以前トレイルブレイザーの挑戦が示したことで競馬関係者に残った印象である、「BCターフに日本のG1勝ち馬が出走すれば案外勝てるのではないか」という憶測が覆ることになります。
・米国ダートへ挑戦する適性
雨上がりのサンタアニタ競馬場。— mitsuoki (@mitsuoki) 2018年3月15日
ここのダートがどんなものかを感じてもらうにはいい日だと思ったので、写真を。
僕のブーツに付いたのは砂ではなく泥。こういう馬場です。粘土質と言うけれど、いわゆる土で構成されていると考える方がイメージに近いと思います。 pic.twitter.com/MuxvbyGJZ3
いきなり私の過去のツイートを載せてみましたが、米国のダートはほぼこんな感じで、水を含むと本当に泥のようになります。おそらくドバイのダートも同様だと思います。
通常、どろんこ馬場にならない限りは、適度に水分が含まれ、ハローがけされてフカフカになったダートで競馬をやります。
「日本のダートで強いから、米国に行けばそこそこやれるのではないか?」
とよく思われますが、私は日本のSandy Dirtとは「全く違うものである」ことを言い続けてきました。
一昨年、ヌーヴォレコルトでBCフィリー&メアターフに遠征した、斎藤誠調教師は、ダートコースに足を踏み入れた上で「この馬場で活躍できる日本の馬は芝タイプじゃないか?」と言われていましたが、ヌーヴォレコルトと同じ、ハーツクライを父に持つYoshidaが圧勝したことを考えると、この見解はおそらく間違っていないと思っています。
裏を返せば、米国ダート種牡馬の頂点に立つTapitは、ラビットランのように日本の芝で走る馬を出すこともままあるわけですから、そうなることは想像に難くありません。
日本馬が踏み出せなかった、芝系種牡馬の血を引く馬の米国ダート遠征をYoshidaがやってくれた格好で、これである程度、米国ダートへの適性を示してもらったのではないでしょうか。
でも、だからこそ、今年のケンタッキーダービーはルヴァンスレーヴに来てほしかった・・・ミルコも「ホント連れて行きたかったよ、なんで行かなかったんだろう」と言っていましたが、これだけは本当に悔いが残って仕方がない、2018年最大の後悔です。
(と言っても自分で何かが出来たとは思えないのですが・・・)
・JRA・生産界への波及
私がJRAに提言したいことは、
・日本馬に凱旋門賞を勝たせるため、欧州と同じタイプの芝にしてほしい
・日本馬にKYダービーを勝たせるため、米国と同じタイプのダートにしてほしい
この2つです。
ただ容易ではないのは、今の芝・ダート種牡馬や繁殖牝馬の血統が役立たずになってしまう可能性も否定出来ない=生産界への波及が間違いなく起こるので、簡単には行きません。
サクソンウォリアー等で欧州G1に結果が出ているディープインパクトはどうかわかりませんが、それ以下の芝系種牡馬のランキングも変わるでしょうし、ゴールドアリュール系の血統は、ダートでは無用の長物になってしまう可能性も否定できません。
が、超高速の芝&深くて重い砂のダートというのは、それぞれの馬場の先進国と比較すると、携帯電話同様のガラパゴス馬場と言わざるを得ない状況。
この上で、やれ凱旋門賞を勝ちたい、やれBCクラシックを勝ちたい、と言われても、同じような馬場で戦ったことがない馬がほとんどなので、なかなか現実味も湧かないし、結果として上位にもたどり着けません。
無論、進化しているその効果は近年の海外遠征で現れてきているのですが、独自の進化を続けてきた日本の近代競馬は、これから先は競馬そのものやルール、文化等を世界のデファクトスタンダードにどう近づけていくかが大きな焦点ではないかと思います。
上記のような事象に対する投げかけというか、大きなきっかけになる一つが、今回のYoshidaの勝利、つまりは米国大手ブリーダーのセレクトセール参加〜米国へ輸出&調教〜出走〜結果だったのではないかと推察しています。
あー、個人的に考えがまとまってスッキリした(笑)
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